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2025/05/12

TOC

流れを取り戻す〜TOCが教えてくれた、改善の本質〜


皆さま、こんにちは。

ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。

第9週目となる今週は、TOC(制約条件の理論)をテーマにお届けします。


先週のブログでは、「事業100年の計」と題して、未来を見据えた経営の在り方、そして“家系と企業が一対である”という視点を共有しました。

では、そのような長期的ビジョンを実現するために、今の現場では何を整えるべきか?

その答えの一つが、今回取り上げるTOC(制約条件の理論)にあると私は確信しています。


なぜ“流れ”が止まるのか?

TOCとは、「Theory of Constraints」

日本語では「制約条件の理論」と訳されます。

簡単に言えば、「全体の成果は、一番詰まっている(弱い、遅い、少ない等)部分で決まる」という考え方です。

イスラエルの物理学者、故エリヤフ・ゴールドラット氏の著書『ザ・ゴール』の中でも有名な話ですが、少年たちが行うハイキングの場面で、隊列のスピードを決めるのは、最も遅い子ども(=ハービー)だということが描かれています。

この物語を通じて私たちは、「ボトルネックに注目し、そこに手を打つことの大切さ」を学びます。

それがTOCの本質です。


私自身、これまで多くの企業の現場支援を行ってきました。

その中で最もよく見かけるのは・・

「なぜ、現場が流れていないのかが分からない」

「それなのに、みんなは一生懸命に動いている」

という状態です。


稼働率の罠。頑張っているのに、成果が出ない理由

TOCが教えてくれる最大の誤解は、「とにかく全員が忙しくしていれば、生産性が上がる」という幻想です。

ある企業の生産ラインで、こんなことがありました。

全工程がフル稼働。

でもなぜか、納期は守れず、在庫は山積み、現場はピリピリ。

ボトルネックでもない工程の稼働を100%にしたことで、仕掛品が溢れ返り、“詰まり”が加速していたのです。


TOCの視点に立てば、答えは明白です。

「全体の成果を左右するのは、一箇所」

「そこに資源(人・時間・お金)を集中させる」

全員が頑張るのではなく、“制約に集中して、流れを整える”こと。

それが、本当の意味での効率化です。


小さな改善が、全体を大きく変える

私が支援させていただいた中小企業では、TOCを段階的に導入しました。

ポイントは、「すぐに全体に広げないこと」です。

まずは、閑散期に一部のプロセスだけをTOC的に改善してみる。

たとえば、以下のような小さな取り組みから始めました。

・制約工程の前にバッファ(余裕)を設ける

・「Green・Yellow・Red」で進捗を色分けし、誰が見ても状態が分かるようにした

・投入(生産工程の先頭)の量を、2割減らして生産してみた

このような“小さな改善(変化)”によって、現場に何が起きるのかを観察しました。

すると・・

・会話が増える

・イライラが減る

・仕掛品が減る

・「流れている」感覚が戻る

現場の変化とは、往々にしてこういう“小さな気づき”から始まるのです。


思考の転換こそ、真の改善

TOCを通じて私が最も強く感じるのは、改善とは、仕組みを変えることではなく、考え方を変えることだということです。

つまり、

「何を変えるのか?」「何に変えるのか?」「どうやって変えるのか?」

この三つの問いに、経営者自身が立ち戻れるかどうかが、全ての鍵を握っています。

誰が悪いか?を探すのではなく、

「何が詰まっているか?」を見極め、そこに向き合う勇気。

TOCとは、単なる業務改善のツールではなく、企業の(もしかしたら経営者の)“考え方”そのものを変える思考改革なのです。


次週は「お金の流れ」・・改善のその先へ

TOCによって流れが整ったら、次に整えるべきは何でしょうか?

そう、それは「お金の流れ」です。

・仕掛品の減少でキャッシュフローがどう変わるのか?

・ボトルネックが解消されることで、次はどこに投資するべきか?

・日々の資金繰りにどう落とし込むか?

次週は、「お金の管理と資金繰りの重要性」をテーマにお届けいたします。


本日も、最後までお読みいただき誠にありがとうございました!

それでは、素敵な一週間をお過ごしください。

今週も、皆さまにとって素敵な毎日でありますように。

ナイスオンホールディングス株式会社

四ケ所秀樹


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ともに、“詰まりのない経営”を目指してまいりましょう。

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この記事を書いた人

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

ナイスオンホールディングス株式会社 代表取締役。
「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、5年間で1億円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

1974年佐賀生まれ。関西学院大学法学部卒。

保有資格
■西研公認MGインストラクター
■SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)
■STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)
■TOC‐ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録
■交流個性解析士

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