皆さま、こんにちは。
ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。
「DXって結局、何から始めればいいの?」
2、3年前だったでしょうか。
ある製造業の社長さんから、こんな相談を受けました。
従業員20名、創業60年の老舗企業。
立派な技術を持っているのに、“DXをしなければ時代に遅れる”という焦りだけが先行している状況でした。
でも、お話を聞いていて気づいたことがあります。
この社長さんが求めているのは、実は”DX”ではなかったのです。
9割の中小企業が勘違いしている”DXの正体”
第2四半期2週目の今週は、デジタルトランスフォーメーション(DX)がテーマです。
先週のブログでは、MBAでの学びを通じて“経営は総合格闘技”であり、経営者こそ“学び続ける必要がある”という話をお届けしました。
その延長線上にあるのが、今回の“DX”です。
現場で最も多く見てきたのは、“DX=ツールの導入”だと勘違いしてしまっている現実です・・
❌ クラウドサービスを導入しました
❌ 業務フローを電子化しました
❌ データ分析のシステムを入れました
もちろん、これらはDXの“手段”です。
でも、本質はそこではありません。
DXの本質=”変化”を前提とした思考への転換
私が独立して15年間、中小零細企業の現場で見続けてきて、確信していることがあります。
それは・・
DXの本質は、
“変化を前提とした経営体質を、組織としてどうつくっているか?”
という問いへの取り組みです。
ツールや仕組みは、あくまで“変化に対応するための補助輪”です。
本当に大切なのは・・
✅ 変化そのものを、恐れず、面白がること
✅ それを仕組み化していくこと
✅ チームで回せるようにすること
これが、真の意味でのDXです。
【実例】年商3億円の製造業で起きた”関係性DX”
冒頭でお話しした、製造業の事例を詳しくご紹介します。
Before:部門間の”見えない壁”
🔸 営業部:「数字を追う」のが仕事
🔸 製造部:「早く・正確に仕上げる」のが仕事
🔸 経理部:「締めて報告する」のが仕事
それぞれが一生懸命なのに、情報がつながっていないため・・
・無駄なやり直しが月15件発生
・納期遅延による顧客クレームが月8件
・残業時間が部門平均で月40時間超
After:業務フローを1つのツールで”つなぐ”
当社の業務改善コンサルティング手法を適用し、シンプルな情報共有ツールを導入した結果・・
📈 営業部の変化
製造の負荷を把握→納期交渉の成約率が20%向上
📈 製造部の変化
経理の締めを意識→日報の精度向上で原価計算が正確に
📈 経理部の変化
営業の受注予測を活用→先回りした資金繰り計画が可能に
結果:売上5%向上、残業時間30%削減
中小企業こそDXに”本当の意味”がある理由
「DXは大企業の話」・・
これは完全な誤解です。
実は、逆なんです。
資源が限られているからこそ、“仕組みと情報”が生命線になります。
中小企業のDXが威力を発揮する3つの理由
1. 意思決定の速さ
大企業のような複雑な承認プロセスがない分、変化への対応が圧倒的に早い
2. 現場との距離の近さ
経営者が現場を直接見られるため、本当に必要な改善点が見える
3. 効果の実感しやすさ
小さな改善でも全社への影響が大きく、成果を実感しやすい
中小企業版DXの5つのステップ
Step1:現状の”困りごと”を洗い出す
ツールありきではなく、まず現場の声を集める
Step2:情報の流れを”見える化”する
どこで情報が滞っているかを図で表現
Step3:”つながり”を増やす小さな実験
いきなり大きなシステムではなく、LINEやスプレッドシートから
Step4:効果を”数値”で確認する
MQ会計の手法で変化を可視化
Step5:成功パターンを”横展開”する
うまくいった部署の方法を他部署にも適用
今すぐできる”気づく体質”チェックリスト
□ 週次で数字を確認する習慣がある
□ 部門を越えた情報共有が月1回以上ある
□ お客様の声を全社で共有している
□ 失敗事例を改善のネタとして活用している
□ 新しいことへの挑戦を評価する文化がある
3つ以上チェックが入れば、あなたの会社はすでにDX体質です!
次週予告:未来への橋渡し”サステナビリティとSDGs”
来週のテーマは“サステナビリティとSDGs”です。
「今の延長線上に、未来をどう残すか?」
DXは、その未来への橋渡しです。
技術で効率化するだけでなく、持続可能な経営体質をつくることこそが、真のデジタルトランスフォーメーションなのです。
読者の皆さまへ・・ツールよりも、問いを持ちましょう
「何を導入するか?」ではなく、「私たちは、何を変えたいのか?」
この問いを持ち続けることが、DX成功の秘訣です。
どんなに優れたツールも、明確な目的がなければ“ただの箱”でしかありませんから・・
本日も、最後までお読みいただき誠にありがとうございました!
それでは、素敵な一週間をお過ごしください。
今週も、皆さまにとって豊かな学びの時間がありますように。
ナイスオンホールディングス株式会社
四ケ所秀樹
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“変化に強い組織”を、一緒につくってまいりましょう!
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