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2026/04/13

QBS

事業100年の計

企業支援

学び

なぜ、あなたの「勘」は再現されないのか? —— 判断の前提を言語化することで、意思決定はじわじわ変わる ——

皆さま、こんにちは。

ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。

   

突然ですが、質問があります。

皆さまは本日、どんな判断をしましたか?

そして・・

その判断を、なぜそう決めたのか、説明できますか?

   

「なんとなく、これだと思った」

「長年の経験から、こうすべきだと感じた」

「うまくいきそうな気がした」

   

こういった答えが出てきたとしたら、それは「勘」に頼った判断です。

勘は、悪いものではありません。

むしろ、長年の経験から磨かれた勘は、社長の大切な資産です。

   

でも・・

その勘は、再現されていますか?

  


「あのときはうまくいったのに、なぜ今回は・・」

こういう経験をしたことはありませんか。

   

あるメーカーの社長が、新製品の価格設定をしていました。

「この市場には、これくらいの価格帯が合う」

    

長年の経験から、自信を持って設定しました。

結果は大成功でした。

   

それから2年後、別の新製品の価格設定をするとき、同じように「感覚」で決めました。

でも今度は、まったく売れなかった・・

   

「あのときと同じように決めたのに、なぜ?」

その社長は困惑しました。

   

でも考えてみれば、2年前の「感覚」が何に基づいていたのか、誰も言語化していなかったのです。

成功した理由が言語化されていないから、再現できない。

これが「勘は再現されない」の正体です。

    

正直に言えば・・

「うまくいった理由を説明できないままでも、次もうまくいくだろう」

どこかで、そう思ってしまう自分もいるのではないでしょうか。

    


「勘」の中に何が入っているのか

社長の「勘」の中には、実は多くのものが詰まっています。

    

過去の成功体験。

失敗から学んだ教訓。

市場の肌感覚。

顧客との対話から得た洞察。

競合他社の動きへの読み。

自社の強みと弱みへの理解。

   

これらが複雑に絡み合って、「なんとなくこれだ」という感覚になっています。

研究の世界では、これを「暗黙知」と呼びます。

   

野中郁次郎氏のSECIモデルが示すように、暗黙知は「言語化されていない知識」です。

   

言語化されていないということは・・

検証できない。

共有できない。

引き継げない。

そして、再現できない。

    

社長の経験と知恵が、言語化されないまま判断に使われ続けている。

これが、意思決定が属人的になり、組織が育たない根本的な理由の一つです。

    


「言語化する」とはどういうことか

「判断の前提を言語化する」と聞くと、難しく聞こえるかもしれません。

   

でも、実際にやることはシンプルです。

たとえば、新しい取引先を選ぶとき。

    

言語化する前:「なんとなく、この会社は信頼できそうだ」

言語化した後:「代表者と直接話せた。財務が安定している。取引実績が3年以上ある。こういう条件が揃っているから、信頼できると判断した」

    

同じ「信頼できる」という結論でも、後者には根拠があります。

    

この根拠が言葉になっていると・・

次回、別の取引先を評価するときに、同じ基準で判断できる。

部下に任せるときに、基準を渡せる。

後から「なぜあの判断をしたのか」を振り返れる。

    

「なんとなく」が「なぜなら」に変わる。

   

これが、判断の前提を言語化するということです。

    


なぜ言語化しないと危険なのか

言語化しないことのリスクは、2つあります。

    

リスク1:同じ失敗を繰り返す

うまくいかなかった判断の「なぜ」が言語化されないと、同じパターンで失敗し続けます。

「あのときも似たような状況だったな」と気づけない。

   

研究で確認されたことですが、伴走型支援を受けた経営者の86.5%が「支援終了後も継続して実践している」と答えています。

その背景には、支援を通じて「判断の根拠が言語化された」という共通点がありました。

    

リスク2:組織が社長依存になる

判断の前提が社長の頭の中だけにある限り、すべての意思決定が社長を通らなければならない。

    

社長が病気になったら。

社長が引退したら。

組織はどうなるか。

   

判断の前提を言語化することは、社長の経験を組織の資産にすることでもあります。

     


今日から試せる「言語化の一手」

難しく考える必要はありません。

    

次に何か判断をするとき、こう問いかけてみてください。

    

「なぜ、自分はそう判断しようとしているのか?」

「その根拠は、どこから来ているのか?」

「この判断は、どんな前提の上に成り立っているのか?」

    

この問いへの答えを、一言でいいので言葉にしてみる。

メモに書いてみる。

誰かに話してみる。

それだけで構いません。

   

「なんとなく」を「なぜなら」に変える習慣が、

半年後、1年後に・・

「判断に迷わない自分」をつくっていきます。

    


次回予告

次回は、「撤退基準の作り方——やめる基準を事前に決めると、何が変わるのか」をお届けします。

    

「本当はやめるべきだ」と感じているのに、やめられないでいる意思決定はありませんか?

もし引っかかりを感じた方は、ぜひ一度お話しましょう。

一緒に考える機会をいただけると嬉しいです!

   


四ケ所秀樹
ナイスオンホールディングス株式会社
代表取締役

ナイスオン公式ブログ Vol. 1,129

   

前回:「なぜ、あなたは”やめられない”のか?——サンクコストバイアスの正体と、抜け出すための一歩」
次回:「撤退基準の作り方——やめる基準を事前に決めると、何が変わるのか」

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この記事を書いた人

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

ナイスオンホールディングス株式会社 代表取締役
「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、5年間で1億円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

【経歴】
1998年3月
関西学院大学法学部政治学科 卒業

1998年4月
父親が経営する税理士事務所・経営支援会社に入社、経営の現場に従事

2011年11月
独立のため退職、「株式会社NICEON」を創業、代表取締役に就任
中小企業の意思決定に特化した経営支援を開始

2020年4月
ナイスオンホールディングス株式会社に商号変更
同年同月、叡知株式会社を設立、代表取締役に就任

2026年3月
九州大学ビジネス・スクール(QBS)修了、経営学修士(MBA)取得

【保有資格】
西研公認MGインストラクター

SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)

STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)

TOC-ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録

交流個性解析士

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