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2026/03/25

QBS

学び

社長の判断を歪める「5つのバイアス」 ——あなたの会社に当てはまるものはどれですか?——

    

皆さま、こんにちは。

ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。

   

前回のブログでは、「なぜ優秀な社長ほど、同じ失敗を繰り返すのか」というテーマで、中小企業経営者の意思決定が歪む「構造的な理由」についてお話しました。

  

本日は、その続きです。

「構造の問題だ」とわかっていても、具体的に何が起きているのかがわからないと、対策の打ちようがありません。

今回は、219社のアンケートデータと10社の深層インタビューから見えてきた、社長の判断を歪める「5つのバイアス」をお伝えします。

   

    

読みながら、「ん、これ、うちかも!?」と感じるものがあれば、それが本日の気づきです。


バイアス① サンクコストバイアス ——「やめられない」の正体

「ここまで投資したんだから、やめるわけにはいかない!」

   

こんな言葉を聞いたことはありませんか?

あるいは、ご自身がそう思ったことは・・?

サンクコストバイアスとは、すでに使ってしまったお金や時間や労力が、将来の判断に影響を与えてしまう心理的傾向のことです。

    

本来、意思決定で問うべきことはひとつだけです。

「これからの選択が、将来にどんな価値をもたらすか?」

   

でも実際は、「ここまでかけたコストを無駄にしたくない」という気持ちが、判断の中心に入り込んでしまう。

その結果・・

撤退すべき事業からの撤退が遅れ、損失が雪だるまのように膨らんでいく。

   

研究のインタビューでも、「やめるべきだとわかっていた。でも、ここまで投資したのにという気持ちがあって・・」

という声が、複数の経営者から出てきました。

    

問い:皆さまの会社に、本当はやめるべきなのに続けている事業や取り組みはありませんか?


バイアス② 確証バイアス ——「見たいものしか見えない」罠

「自分の読みは間違っていない。この数字は一時的なものだ」

   

確証バイアスとは、自分の仮説や信念を支持する情報だけを集め、反証する情報を無視したり過小評価したりしてしまう傾向のことです。

これが怖いのは、本人がまったく気づかないまま進行するという点です。

   

業績が悪化しているのに「時代の流れだ」と解釈する。

部下が問題を報告しているのに「大げさだ」と受け流す。

データが警告しているのに「うちは違う」と思い込む。

    

中小企業では、意思決定が社長一人に集中しているため、反対意見が出にくい構造になっています。

反対意見を言える人が周りにいない環境では、確証バイアスは静かに、でも確実に蓄積されていきます。

    

問い:最近、自分の判断に反対意見を言ってくれる人が、社内にいますか?


バイアス③ 過信バイアス ——「成功体験」が判断を鈍らせる

「これまでうまくいってきた。今回も大丈夫だ!」

   

     

過信バイアスとは、自分の判断能力や予測を過大評価してしまう心理的傾向です。

特に、成功を重ねてきた経営者ほど陥りやすい。

   

「自分はこれまで正しい判断をしてきた」という自信が、新しいリスクへの感度を鈍らせてしまう。

成功体験が強ければ強いほど、「今回も同じ前提でうまくいくはずだ」という思い込みが無意識に強まります。

   

ここで厄介なのは、周囲も「社長は間違っていないはず・・」と思っているケースが多いこと。

社長への信頼と過信バイアスが重なると、組織全体が「誰も疑わない」状態になってしまいます。

   

問い:あなたの周りに、「社長、それは違うんじゃないですか?」と言える人はいますか?


バイアス④ 現状維持バイアス ——「変えない」という決断の代償

「今のやり方でここまできた。変える必要はない!」

   

現状維持バイアスとは、変化を避け、現在の状態を維持しようとする心理的傾向のことです。

人間は本能的に、変化によって生じる損失を、変化によって得られる利益よりも大きく感じます(これをプロスペクト理論では「損失回避」と呼びます)。

   

つまり、変えないことで失う機会よりも、変えることで生じるリスクのほうが、心理的に重く感じられる。

だから「変えない」という選択が、何度も繰り返される。

   

でも、ここで気をつけてほしいのは・・

「変えない」も立派な意思決定だということです。

変えないことのコストを、きちんと計算できていますか?

    

問い:「変えない」という判断を、理由とともに言葉にできますか?


バイアス⑤ 近視眼バイアス ——目先の数字が未来を食いつぶす

「今月の売上が・・」「今期の利益が・・」

    

近視眼バイアスとは、短期的な成果に意識が向きすぎて、長期的な影響や将来の価値が十分に考慮されなくなる傾向のことです。

日々の経営では、どうしても目の前の数字が気になります。

それ自体は当然のことです。

    

でも、短期の損益の変動だけが判断の基準になっていると・・

    

長期的な競争力への投資が後回しになる。

人材育成が「今は余裕がない」で止まる。

事業の構造転換が「来期にやろう」で先送りになる。

気づいたときには、じわじわと会社の体力が削られている。

     

これが近視眼バイアスの怖さです。

    

問い:あなたの経営判断は、「今月」「今期」だけで動いていませんか?


5つのバイアス ——まとめ


バイアス どんな状態か 典型的な言葉
サンクコスト やめられない 「ここまで投資したのに」
確証 見たいものしか見えない 「一時的なものだ」
過信 根拠なく大丈夫だと思う 「今回も大丈夫だ」
現状維持 変化を避ける 「今のままでいい」
近視眼 目先の数字しか見えない 「今期さえよければ」

     

重要なのは、これらのバイアスは「能力の問題」ではないということです。

前回のブログでもお伝えしたように、これは構造の問題です。

優秀な社長でも、孤独に判断し続ける環境に置かれれば、これらのバイアスは蓄積されていく。

    

だからこそ、「判断プロセスを整える仕組み」が必要なのです。

それが、私が「OFA」を通じてお伝えしたいことの核心です。


次回予告

次回は、「OFA(組織的失敗回避)とは何か」をテーマにお届けします。

    

「成功を保証する手法ではない。でも、致命的な失敗を同じ構造で繰り返さない」・・

その考え方を、もう少し深くお話しします。

    

まず、ご自身に問いかけてみてください。

本日ご紹介した5つのバイアスの中で、「あ、これかもしれない」と感じたものはありましたか?

    

もし引っかかりを感じたものがあれば、ぜひ一度お話しましょう。

一緒に考えさせてくださいませ!


    

四ケ所秀樹
ナイスオンホールディングス株式会社
代表取締役

ナイスオン公式ブログ Vol. 1,126

   

前回:「なぜ優秀な社長ほど、同じ失敗を繰り返すのか——219社のデータから見えた真実」
次回:「OFA(組織的失敗回避)とは何か——致命的な失敗を繰り返さないために」

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この記事を書いた人

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

ナイスオンホールディングス株式会社 代表取締役。
「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、5年間で1億円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

1974年佐賀生まれ。関西学院大学法学部卒。

保有資格
■西研公認MGインストラクター
■SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)
■STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)
■TOC‐ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録
■交流個性解析士

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