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2026/03/30
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皆さま、こんにちは。
ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。
前回までの2本で、こんなことをお伝えしてきました。
「優秀な社長ほど、同じ失敗を繰り返しやすい。それは能力の問題ではなく、構造の問題だ」
「その構造の核心にあるのが、5つの認知バイアスだ」
では、その構造に対して、何ができるのか・・
結論から言います。
「優秀な社長が、同じ失敗を繰り返さないための方法」は存在します。
ただしそれは、「正しい判断をする方法」ではありません。
本日は、私がQBSの2年間の研究で辿り着いた考え方・・
OFA(Organizational Failure Avoidance:組織的失敗回避)
についてお話しします。
この記事の内容
最初に、正直に言わせてください。
実は私自身も、長い間「こうすれば必ず成功する」というものを探してきました。
お客さまのために、再現性のある「成功の法則」を届けたい・・
そう思い続けてきました。
でも、現場と研究の両方を通じてわかったのは、それが存在しないという現実でした。
OFAは、「御社を100億企業にする方法」ではありません。
「この通りにやれば必ず成功する」という手法でもありません。
「成功を保証する」・・
そういうコンサルティングが世の中にはたくさんあります。
でも、私はそういうことが言えません。
なぜなら、研究を通じて、成功には再現性が難しい要因が多く絡んでいることを、データで見てきたからです。
では、OFAとは何なのか。
一言で言えばこうです。
「致命的な失敗を、同じ構造で繰り返さないための仕組みをつくること」
これだけです。

ここで言う「致命的な失敗」とは、会社が潰れることだけを指しているわけではありません。
撤退すべきタイミングを逃して、損失が雪だるまのように膨らんでいく。
不採算事業に人・時間・お金を投じ続けて、本来育てるべき事業が育てられない。
「あのとき判断していれば」という後悔が積み重なって、経営者が消耗していく。
これらすべてが「致命的な失敗」です。
そして、研究で明らかになったのは・・
これらの失敗は、偶然起きているのではなく、同じ構造で繰り返されているということでした。
前回お伝えした5つのバイアスが引き起こす、
「撤退できない」
「見たいものしか見えない」
「根拠なく大丈夫だと思う」
これらが組み合わさって、失敗のパターンが生まれます。
OFAが目指すのは、このパターンを断ち切ることです。
では、OFAは具体的に何をするのか。
研究で見えてきた核心は、3つです。

① 判断の前提を言語化する
社長の「勘」や「経験則」は、それ自体は悪いものではありません。
問題は、それが言語化されないまま意思決定に使われることです。
言語化されない判断基準は、検証できません。
「なぜその判断をしたのか」を後から振り返ることができない。
だから、同じ失敗が繰り返される。
OFAでは、「この判断はどんな前提に基づいているのか」を一緒に言葉にしていきます。
② 撤退基準を事前に決める
多くの経営者が、撤退基準を持っていません。
「うまくいかなかったらやめる」という曖昧な言葉はあっても、「売上がXX万円を3ヶ月連続で下回ったら撤退を検討する」という具体的な基準がない。
だから、サンクコストバイアスに引っ張られて、やめるべきときにやめられない。
OFAでは、何かを始める前に「どうなったらやめるか」を言葉にすることを大切にします。
③ 判断の過程を残す
一度だけ考えるのではなく、「今回の判断はこういう前提で、こういう選択肢を検討して、こういう理由でこれを選んだ」という過程を記録する。
これがあると、後から「あのときなぜそう判断したのか」を振り返ることができます。
そして、同じ状況が来たとき「前回はこのバイアスに引っ張られた」という気づきが使えるようになる。
これが、意思決定のサイクルが回るたびに、判断の精度が上がっていく仕組みです。
ここが、最も大切な点です。
OFAは、「正解を増やすこと」を目指していません。
目指しているのは、「判断の前提・検討過程・棄却した選択肢を参照可能な形で残し、意思決定のサイクルが回るたびに検討の精度と範囲が更新される状態をつくること」です。
少し難しく聞こえるかもしれないので、わかりやすく言い直します。
「先月の判断を振り返ったとき、なぜその判断をしたのかが説明できる状態をつくること」
「今月の判断をするとき、先月気づいたバイアスを意識できるようになること」
「半年後、1年後に、確実に今よりも良い判断ができるようになっていること」
OFAは、そういう「じわじわ強くなる仕組み」です。
もう一点、大切なことをお伝えします。
OFAを通じた伴走型支援は、「社長の最終判断を代替しない」ことを前提にしています。
コンサルタントの中には、「私の言う通りにやれば大丈夫です」という方もいます。
でも、それでは経営者は育ちません。
同じ判断者が、同じバイアスを持ったまま、外部の答えに依存し続けることになる。
私が一緒にやりたいのは、そういうことではありません。
社長が自分の判断に責任を持ち続けながら、その判断の前提と過程を一緒に整える。
それが、伴走型支援の本当の役割だと、研究を通じて確信しました。
インタビューした10社の経営者の言葉の中に、こんな表現が繰り返し出てきました。
「答えを教えてもらったわけじゃない。でも、自分の判断が変わった」
これが、OFAが目指すものの本質です。
OFAの話は、概念として読むと「なるほど」で終わってしまいます。
だから、一つだけ具体的なことをお伝えします。
今週、何か意思決定をするときに、こう自問してみてください。
「この判断は、どんな前提に基づいているか?」
「その前提は、今も正しいか?」
これだけです。
この問いを持つことが、OFAの入り口なのです。
次回は、「伴走型支援が機能するメカニズム——なぜ『答えを教える支援』では変わらないのか」をお届けします。
研究で明らかになった「変化が起きるプロセス」を、具体的に解説します。
「本当はやめるべきだ」と感じているのに、やめられないでいる意思決定はありませんか?
もし引っかかりを感じた方とは、ぜひ一度お話ししたいと思っています。
四ケ所秀樹
ナイスオンホールディングス株式会社
代表取締役
前回:「社長の判断を歪める「5つのバイアス」——あなたの会社に当てはまるものはどれですか?」
次回:「伴走型支援が機能するメカニズム——「答えを教える支援」では変わらない理由」