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皆さま、こんにちは。
ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。
先日、ある会社の幹部の方と、これからの組織についてお話をしていました。
その方は、営業の力がとても高い方でした。
ご自身で動けば、結果を出せる。
難しい仕事も、引き受けられる。
ですから、最初は、ご自身に足りないものをお聞きしても、なかなか、はっきりとは見えてきませんでした。
・・そこで、私は、お聞きしました。
「あなたは今、何の責任を担っていますか」
そして、もう一つ。
「どういう状態になったら、その責任を果たしたと言えますか」
しばらく、お話を続けていくうちに、見えてきたものがありました。
ご自身が結果を出す力は、もう持っておられる。
けれど、組織全体で目標へ向かおうとすれば、自分一人の力だけでは届かない。
人に力を貸してもらうこと。
人が動けるように、関わること。
チーム全体を、目標へ導くこと。
そこに、ご自身の足りないものがある。
「マネジメント力かもしれません」
課題が、初めて具体的な言葉になりました。
・・私は、この瞬間に、人が育ち始める入口があると思っています。
本日は、そのお話です。
三枝匡さんの『閉塞企業を甦らせる』に、経営を担う人材を育てるうえで、とても大切な考え方が出てきます。
人を育てるために、最も重要で有効なのは、座学や助言を与えること以上に、その人にどのような事業責任を背負わせるかだ、という趣旨のことが書かれていました。
・・責任を背負わせる。
この言葉だけを見ると、少し、厳しく聞こえるかもしれません。
責任を与えれば、人が育つ。
大きな目標を持たせれば、強くなる。
そんなふうに、無理をさせる話にも見えてしまいます。
でも、私は、そうは受け取りませんでした。
責任は、人を追い込むための重石ではありません。
自分に、何が足りないのか。
それを映し出す、鏡なのだと思ったのです。

責任が曖昧なままだと、人は、「自分がどれだけ頑張ったか」で、自分の仕事を、評価しやすくなります。
一生懸命、働いている。
忙しく、動いている。
だから、「これだけやっているのだから」と、思うこともできます。
それは、間違いではありません。
けれど、責任が明確になると、見る場所が変わります。
「どれだけ頑張ったか」だけではなく、「自分が担った結果に、どこまで近づけたか」を見るようになります。
これは、結果だけで人を裁く、という話ではありません。
むしろ、届かなかったときに、「では、何が足りなかったのだろう」と、一緒に学べるようになるためです。
そこから、初めて問いが生まれます。
なぜ、届かなかったのだろう。
自分には、何が足りないのだろう。
誰の力を、借りたらよいのだろう。
何を、学び直したらよいのだろう。
・・不足が見えることは、決して、弱さではありません。
不足が見えたから、学ぶことができます。
できなかったことが、少しずつ、できるようになります。
見えていなかったものが、少しずつ、見えるようになります。
そして、やがて、自分一人で結果を出すことよりも、仲間と一緒に、もっと大きな結果を生み出すことに、喜びを感じるようになるかもしれません。
私は、それが、人が育つということの一つだと思っています。
・・ただし。
ここには、とても大切な前提があります。
責任は、ただ押しつければよいのではありません。
何を担い、どの状態を実現するのか。
それを、本人と上司が、同じ言葉で握っていなければなりません。
責任を明確にすることと、責めることは、まったく違います。
むしろ、安心して挑戦するために、責任の境界を、はっきりさせるのです。
そして、結果が出なかったときには、人を責めるのではなく、何が足りなかったのかを一緒に見る。
そのような場があって、初めて、責任は人を育てるものになるのだと思います。
・・もし今、「なかなか人が育たない」と感じておられるなら。
研修が足りないのか。
本人の意欲が足りないのか。
その前に、一度、確かめてみてください。
その方が担う責任は、ご本人の言葉で、説明できるほど明確でしょうか。
そして、その責任を果たすために、何が足りないのかを安心して口にできる場があるでしょうか。
人は、「あなたには、これが足りない」と、外から教えられたときよりも、「この責任を果たすために、私には、これが足りない」
そう、自分で気づいたときに、育ち始めるのかもしれません。
・・経営者の方も、同じです。
会社を守る責任を、本気で引き受けるからこそ、自分一人では足りないことに気づきます。
だからこそ、人に頼ることができる。
だからこそ、学び続けることができる。
足りないものが見えることは、前へ進み始めた証なのだと私は思います。
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参考:三枝匡『決定版 閉塞企業を甦らせる』(KADOKAWA)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ナイスオンホールディングス株式会社
代表取締役 四ケ所秀樹
ナイスオン公式ブログ Vol. 1,141
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