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皆さま、こんにちは。
ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。
先日、このブログでこんなことを書きました。
「強い経営者は、肝だけを握り、それ以外は大胆に手放す」と。
大胆さと、繊細さ。
そのどちらも持っている人が、強い。
肝を繊細に握るからこそ、それ以外を大胆に手放せる・・
そんな、お話でした。
ところが、です。
偉そうに書いておきながら、本日は、白状しなければなりません。

実は、私自身が・・
「手放す」のが、いちばん下手な人間でした。
この記事の内容
手放すどころか、私は握ることばかりしてきました。
不安だったのです。
経営の現場に立てば立つほど、誰かの人生を預かれば預かるほど、得体の知れない不安が足元から這い上がってくる。
その不安を消したくて、私は武装しました。
研修という研修を受けまくりました。
理論も、手法も、資格も。
私はよく、自分のことを「知識という”モービルスーツ”を着込んでいた」と言います。

一枚、また一枚。
鎧を重ねれば、この不安は消えるはずだ。
本気でそう思っていました。
ところが・・です。
どれだけ着込んでも。
どれだけ詳しくなっても。
不安は、まったく消えませんでした。
むしろ、重くなる一方だったのです。
そんな私が変わったのは・・ある方の、たった一言でした。
岡部明美さん。
多くの方が「明美ちゃん」と呼ばせていただく、心の師のような方です。
あるワークショップでのことでした。
何かを握りしめたまま動けずにいた私に、明美ちゃんは、静かにこう問いかけました。
「ひでっくん。
それを手放したら、
あなたが大切にしていることは無くなるの?
大切にしている人はいなくなるの?」
・・あれ?
無くならない、かもしれない。
いなくならない、かもしれない。
・・いや。
無くならない。
いなくならない。
その瞬間、私の中で何かが少しだけ緩んだのです。
その瞬間、私の中で小さな”揺らぎ”が起きました。
私はずっと、「大切なものを守るため」に握っているのだと思っていました。
でも、本当は・・違ったのです。
私が握りしめていたのは、「大切なもの」そのものではありませんでした。
「手放したら無くなる」という、私自身の思い込みの方だったのです。

言い換えれば・・
私が大事に抱えていたのは、「失う怖さ」そのものでした。
大切なものは、握らなくてもちゃんとそこにある。
手放したくらいで、消えてなくなるようなものではなかった。
それに、気づいてしまった。
そこから、少しずつ。
本当に、少しずつですが・・
私は、手放せるようになっていきました。
ここで、少しだけ理屈の話をさせてください。
先日のブログで、私はこう書きました。
人が手放せるようになるには、「何を手放していいのか」が先に決まっていなければならない、と。
私が大学院で書いた修士論文の、中心概念「OFA(組織的失敗回避)」
その柱のひとつが、「撤退基準を事前に決める」ことでした。
どこまでいったら、やめるのか。
何を守れていれば、あとは任せていいのか。
・・これは、変わっていません。
基準を決めることは、本当に大切です。
けれど、本日はもう一段奥のことをお伝えしたいのです。
なぜ、その基準をなかなか決められないのか。
撤退基準を決められない経営者を、私は何人も見てきました。
能力の問題ではありません。
皆さん、聡明な方ばかりです。
では、何が決断を止めているのか。
・・それは、「失う怖さ」でした。
「ここでやめたら、これまでの努力が無駄になる」
「手放したら、大事な何かがこぼれ落ちてしまう」
その怖さが、基準を決める手を止めてしまう。
つまり・・
構造(撤退基準)のもう一段手前に、感情(失う怖さ)があるのです。
私が、知識のモービルスーツを脱げなかったのも、まったく同じでした。
基準がなかったのではない。
基準を決めることすら、怖かったのです。
だから、順番はこうなのだと思います。

まず、「手放しても、大切なものは無くならない」と、心のどこかで信じられること。
その安心があって、はじめて人は撤退基準を決められる。
基準が決まって、はじめて大胆に手放せる。
繊細さが大胆さを支えていたように・・
“安心”がすべての土台にあったのです。
そして、これは・・
経営の話だけではありません。
私たちは、誰しも何かを握りしめています。
過去の成功。
こうあるべきだ、という役割。
誰かに、どう見られるか。
昔の自分。
そのどれもが、「手放したら大切な何かを失う」と思い込んでいるから握っているのです。
でも、本当でしょうか。
手放しても・・
あなたが本当に大切にしているものは、たぶん無くなりません。
あなたを大切に思ってくれる人も、いなくなりません。
握りしめているのは、たいてい、”無くなるかもしれない”という不安の方なのです。
私は、あの日の明美ちゃんの一言に救われました。
握った手を、自分の力だけで開くことはできませんでした。
ある人の、ある問いが。
ある「場」が。
私の指を、そっとほどいてくれたのです。
だから・・
今度は私が。
誰かが、安心して手放せる「場」を作りたいと思っています。
7月末から、組織ドクターの杉本智さん(株式会社JOY代表)とともに、6ヶ月の実践塾を始めます。
社長と、右腕・左腕となるお二人。
3名一組で、10社限定。
「何を握り、何を手放すか」を、半年かけて一緒に組み立てていく場です。
https://www.reservestock.jp/events/MDQ3OTJhY2UxM
「もう少し、聞いてみたい」という方には、私が直接お話しさせていただく30分の個別相談(無料)もご用意しています。
・・と、ご案内もしつつ。
でも、本日いちばんお伝えしたかったのは、塾のことよりも・・
「手放しても、大切なものは無くならない」

私は、そのことを教えてもらった日から、少しずつ生きるのが楽になりました。
もし今、皆さまの中に、何かを握りしめて苦しくなっている方がいらっしゃるとしたら・・
一度だけ、問うてみてください。
「これを手放したら、本当に大切なものは無くなるだろうか」と。
・・たぶん、無くなりません。
経営者が最後に越える壁は、知識でも戦略でもありません。
「失っても大丈夫だ」と、少しずつ安心していけるかどうか。
そして、私は思うのです。
その「安心」は、一人ではなかなか育たない。
だからこそ、人には「場」が必要なのだ、と。
皆さまが、ふっと肩の力を抜いて、本当に大切なものだけを軽やかに握れますように・・
それでは、素敵な1日をお過ごしくださいませ。
四ケ所秀樹
ナイスオンホールディングス株式会社 代表取締役
ナイスオン公式ブログ Vol. 1,135
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