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2026/04/27

QBS

企業支援

学び

なぜ、あなたの会社は「同じ失敗」を繰り返さなくなるのか? ——意思決定を記録すると、会社はどう変わるのか——

皆さま、こんにちは。

ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。

   

本日は、ある研修でのことを話させてください。

   

以前、私は複数の会社に「業務フロー図を作成して、業務の全体最適化を図る」という研修を実施していました。

   

業務の流れを見える化することで、無駄を発見し、効率を上げる・・

そういう研修です。

   

     

その研修に参加していた一社が、あるとき、こんな提案をしてきました。

    

「四ケ所さん、私たちは”意思決定フロー図”を作りたいんです」

   

最初、私は少し驚きました。

でも、話を聞くうちに、これは本質的なことだと確信しました。

    

「業務の流れを見える化するなら、意思決定の流れも見える化できるんじゃないか」

その会社の社長と経営幹部が、一緒に取り組んだことがあります。

    


「意思決定フロー図」で何が起きたか

その会社が取り組んだのは、こういうことでした。

    

経営者・経営幹部がある判断を下すとき、どのようなプロセスで決断するか・・

それを言葉にして、図として見える化する。

    

「この情報を集める」

「この数字を確認する」

「この条件を満たしたら進める」

「この状態になったらやめる」

    

そういった判断のステップを、一つひとつ言葉にしていったのです。

そして、設計の中に、特別な工夫がありました。

     

「自分たちが陥りやすいバイアスや罠に、気づけるように設計する」

    

たとえば、サンクコストバイアスに引っ張られていないか確認する問いを入れる。

確証バイアスに陥っていないか、反対意見を確認するステップを入れる。

    

これが・・

本当に素晴らしかった。

    


何が変わったのか

この取り組みの後、その会社に起きた変化は3つです。

    

     

① 意思決定プロセスが「組織の形式知」になった

    

それまで、意思決定は社長の頭の中にありました。

「なぜそう判断したのか」は、社長本人にしかわからない。

部下は「社長がそう言ったから」という理由でしか動けない。

    

でも、意思決定フロー図ができてからは、「なぜそう判断するのか」が言葉になった。

共有できるようになった。

引き継げるようになった。

    

社長の暗黙知が、組織の形式知になったのです。

    

② 意思決定の質と速度が上がった

   

フローが明確になると、「何を確認すればいいか」がわかる。

    

「この数字を見て、この条件を確認して、この基準と比較する」という手順があるから、悩む時間が減る。

迷わなくなる。

   

そして・・

「これが揃っていないから、まだ判断できない」という判断も、素早くできるようになる。

    

③ バイアスに「気づける」ようになった

    

これが最も重要です。

   

フロー図の中に「自分たちが陥りやすい罠」が組み込まれているから、判断の瞬間に「あ、今自分はサンクコストバイアスに引っ張られているかもしれない」と気づける。

    

気づければ、立ち止まれる。

立ち止まれれば、修正できる。

   

メタ認知が、組織の仕組みになった瞬間でした。

    

「以前より、判断に迷う時間が減った気がします」

ある幹部が、そう仰ったのが印象的でした。

    


難しく考えなくていい

「意思決定フロー図を作る」と聞くと、難しく聞こえるかもしれません。

    

でも、本質はシンプルです。

「判断の過程を残す」

これだけです。

    

正式なフロー図でなくても構いません。

    

会議の後に「今日、どんな判断をして、その根拠は何だったか」を3行だけメモする。

    

新しい取り組みを始めるとき・・

「なぜ始めるのか」

「どうなったらやめるのか」

を一枚の紙に書いておく。

    

月に一度、「先月の判断を振り返って、何かバイアスに引っ張られていなかったか」を問い直す。

    

    

これだけで、「意思決定ログ」の第一歩です。

    


なぜ記録が「強さ」になるのか

研究のデータが示したことがあります。

    

伴走型支援を受けた経営者の多くが、支援を通じて変わったこととして挙げたのは「答えを教えてもらった」ではありませんでした。

    

「判断の前提を言語化する習慣が身についた」

「自分の判断パターンが見えるようになった」

これでした。

    

意思決定を記録することの本当の価値は、「過去の判断を保存すること」ではありません。

    

「次の判断を、今日より少しだけ良くすること」

です。

    

記録があれば、「あのときの判断は、どんな前提に基づいていたのか」を振り返れる。

「あのとき見えていなかったものが、今は見える」という瞬間が積み重なっていく。

    

それが、「同じ失敗を繰り返さない会社」をつくっていきます。

    


OFAの3つの核心が、ここで繋がる

このシリーズを通じて、OFAの3つの核心をお伝えしてきました。

     

① 判断の前提を言語化する・・「なんとなく」を「なぜなら」に変える

② 撤退基準を事前に決める・・感情ではなく、構造で判断する

③ 判断の過程を残す・・記録が、次の判断を変える

    

この3つが揃ったとき、意思決定は一回きりの「勘」から、継続的に進化する「仕組み」に変わります。

    

冒頭のエピソードの会社がやったことは、まさにこの3つを同時に実践することでした。

    

意思決定フロー図を作ることで、前提を言語化した。

撤退基準を組み込んだ。

そして、判断の過程を記録として残した。

    

一度作れば、使うたびに強くなる仕組みです。

    


今日から始める「意思決定ログ」

難しく考えず、本日から始められることをひとつお伝えします。

    

次に何か重要な判断をするとき・・

    

「この判断の根拠は何か?」
「どうなったらやめるか?」
「今、どんなバイアスに引っ張られていないか?」

    

この3つを、一言ずつ書いてみてください。

それだけでいいです。

    

その積み重ねが・・

気づいたときには、「判断に振り回されない会社」をつくっていきます。

    


四ケ所秀樹
ナイスオンホールディングス株式会社
代表取締役

ナイスオン公式ブログ Vol. 1,131

    

前回:「なぜ、”やめる基準”がある会社は強いのか?——撤退基準が、安心して挑戦できる会社をつくる」

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この記事を書いた人

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)

ナイスオンホールディングス株式会社 代表取締役
「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、5年間で1億円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

【経歴】
1998年3月
関西学院大学法学部政治学科 卒業

1998年4月
父親が経営する税理士事務所・経営支援会社に入社、経営の現場に従事

2011年11月
独立のため退職、「株式会社NICEON」を創業、代表取締役に就任
中小企業の意思決定に特化した経営支援を開始

2020年4月
ナイスオンホールディングス株式会社に商号変更
同年同月、叡知株式会社を設立、代表取締役に就任

2026年3月
九州大学ビジネス・スクール(QBS)修了、経営学修士(MBA)取得

【保有資格】
西研公認MGインストラクター

SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)

STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)

TOC-ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録

交流個性解析士

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