2026/04/20
QBS
企業支援
学び
ブログ筋トレ
2026/04/27
QBS
企業支援
学び
皆さま、こんにちは。
ナイスオンホールディングスの四ケ所秀樹です。
本日は、ある研修でのことを話させてください。
以前、私は複数の会社に「業務フロー図を作成して、業務の全体最適化を図る」という研修を実施していました。
業務の流れを見える化することで、無駄を発見し、効率を上げる・・
そういう研修です。

その研修に参加していた一社が、あるとき、こんな提案をしてきました。
「四ケ所さん、私たちは”意思決定フロー図”を作りたいんです」
最初、私は少し驚きました。
でも、話を聞くうちに、これは本質的なことだと確信しました。
「業務の流れを見える化するなら、意思決定の流れも見える化できるんじゃないか」
その会社の社長と経営幹部が、一緒に取り組んだことがあります。
この記事の内容
その会社が取り組んだのは、こういうことでした。
経営者・経営幹部がある判断を下すとき、どのようなプロセスで決断するか・・
それを言葉にして、図として見える化する。
「この情報を集める」
「この数字を確認する」
「この条件を満たしたら進める」
「この状態になったらやめる」
そういった判断のステップを、一つひとつ言葉にしていったのです。
そして、設計の中に、特別な工夫がありました。
「自分たちが陥りやすいバイアスや罠に、気づけるように設計する」
たとえば、サンクコストバイアスに引っ張られていないか確認する問いを入れる。
確証バイアスに陥っていないか、反対意見を確認するステップを入れる。
これが・・
本当に素晴らしかった。
この取り組みの後、その会社に起きた変化は3つです。

① 意思決定プロセスが「組織の形式知」になった
それまで、意思決定は社長の頭の中にありました。
「なぜそう判断したのか」は、社長本人にしかわからない。
部下は「社長がそう言ったから」という理由でしか動けない。
でも、意思決定フロー図ができてからは、「なぜそう判断するのか」が言葉になった。
共有できるようになった。
引き継げるようになった。
社長の暗黙知が、組織の形式知になったのです。
② 意思決定の質と速度が上がった
フローが明確になると、「何を確認すればいいか」がわかる。
「この数字を見て、この条件を確認して、この基準と比較する」という手順があるから、悩む時間が減る。
迷わなくなる。
そして・・
「これが揃っていないから、まだ判断できない」という判断も、素早くできるようになる。
③ バイアスに「気づける」ようになった
これが最も重要です。
フロー図の中に「自分たちが陥りやすい罠」が組み込まれているから、判断の瞬間に「あ、今自分はサンクコストバイアスに引っ張られているかもしれない」と気づける。
気づければ、立ち止まれる。
立ち止まれれば、修正できる。
メタ認知が、組織の仕組みになった瞬間でした。
「以前より、判断に迷う時間が減った気がします」
ある幹部が、そう仰ったのが印象的でした。
「意思決定フロー図を作る」と聞くと、難しく聞こえるかもしれません。
でも、本質はシンプルです。
「判断の過程を残す」
これだけです。
正式なフロー図でなくても構いません。
会議の後に「今日、どんな判断をして、その根拠は何だったか」を3行だけメモする。
新しい取り組みを始めるとき・・
「なぜ始めるのか」
「どうなったらやめるのか」
を一枚の紙に書いておく。
月に一度、「先月の判断を振り返って、何かバイアスに引っ張られていなかったか」を問い直す。

これだけで、「意思決定ログ」の第一歩です。
研究のデータが示したことがあります。
伴走型支援を受けた経営者の多くが、支援を通じて変わったこととして挙げたのは「答えを教えてもらった」ではありませんでした。
「判断の前提を言語化する習慣が身についた」
「自分の判断パターンが見えるようになった」
これでした。
意思決定を記録することの本当の価値は、「過去の判断を保存すること」ではありません。
「次の判断を、今日より少しだけ良くすること」
です。
記録があれば、「あのときの判断は、どんな前提に基づいていたのか」を振り返れる。
「あのとき見えていなかったものが、今は見える」という瞬間が積み重なっていく。
それが、「同じ失敗を繰り返さない会社」をつくっていきます。
このシリーズを通じて、OFAの3つの核心をお伝えしてきました。
① 判断の前提を言語化する・・「なんとなく」を「なぜなら」に変える
② 撤退基準を事前に決める・・感情ではなく、構造で判断する
③ 判断の過程を残す・・記録が、次の判断を変える
この3つが揃ったとき、意思決定は一回きりの「勘」から、継続的に進化する「仕組み」に変わります。
冒頭のエピソードの会社がやったことは、まさにこの3つを同時に実践することでした。
意思決定フロー図を作ることで、前提を言語化した。
撤退基準を組み込んだ。
そして、判断の過程を記録として残した。
一度作れば、使うたびに強くなる仕組みです。
難しく考えず、本日から始められることをひとつお伝えします。
次に何か重要な判断をするとき・・
「この判断の根拠は何か?」
「どうなったらやめるか?」
「今、どんなバイアスに引っ張られていないか?」
この3つを、一言ずつ書いてみてください。
それだけでいいです。
その積み重ねが・・
気づいたときには、「判断に振り回されない会社」をつくっていきます。
四ケ所秀樹
ナイスオンホールディングス株式会社
代表取締役
ナイスオン公式ブログ Vol. 1,131
前回:「なぜ、”やめる基準”がある会社は強いのか?——撤退基準が、安心して挑戦できる会社をつくる」
2026/04/20
QBS
企業支援
学び
2026/04/13
QBS
事業100年の計
企業支援
学び
2026/03/30
QBS
企業支援
学び
2026/03/25
QBS
学び
2026/03/21
QBS
学び
2025/06/16
QBS
学び