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2019/12/27

MQ戦略ゲーム

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学び

社長の意識が前に向くと、会社は変わる! 〜ある石鹸屋さんの物語 連載最終回〜

皆さま、こんにちは!ナ.イ.ス.オ.ン株式会社の四.ケ.所.秀樹です。


昨日は、この石鹸屋さんの物語の肝となる部分について、お伝えさせて頂きたいと思いました。


なので、私なりに、一所懸命に書いていますので、ぜひ、読んで頂けると嬉しいです!


昨日のブログは、こちらです。
全部原価計算による意思決定で得るものと失うもの 〜ある石鹸屋さんの物語 連載第6回〜


その中にも出てきますが、私たちは、意外と、失っているものに気がつくことができません。


お金が出ていく、つまり、支払わなければいけなかったリスクについては、きちんと把握できていますが、記録できないものについては、あまり意識が向いていないと思うのです。


本当は得られるはずのものを、実は失ってしまっていることが、皆さまの会社でも起きていませんか?


表があれば、裏があります。


陰があれば、陽があります。


モノゴトは、2つに分かれることで、永く存在し続けられるのです。


ぜひ、見方を変えてみて下さいね。


社長の意識が前に向くと、会社は変わる!

下のMQ会計表は、この石鹸屋さんから、ご相談を受けたときのものです。





その前の10年くらいは、100万円から300万円の利益で推移していたそうです。


この利益を跳ね上げるために、まず、最初に取り組んだのが、利益感度分析でした。


その結果、MQ会計の全ての要素が、利益に対して敏感に反応することが分かりました。


さらに、そのイメージを鮮明に持って頂くために、P(売価)を20%アップさせたとしたら、G(利益)がどうなるのか、社長と共有させて頂いたのが下のMQ会計表です。





ご覧の通り、130万円だった利益が、3,050万円まで急上昇することが分かりました。


ただ、これはあくまで条件付きでしたよね。


その条件とは、P(売価)以外の要素、つまり、V(変動単価)・Q(販売数量)・F(期間費用・固定費)が、今までと変わらなかった時のことを考えているということでした。


ここで、もし、皆さまの会社で、値上げを実行するとして、1番最初に考えることは何でしょうか?


【お客さま離れ】ではないでしょうか?


ということで、会社のお金が減らない範囲内で、どこまでのQ(販売数量)ダウンに耐えられるのか、シミュレーションしてみました。


それが、下の図になります。





すると、あくまで数字上の話ではありますが、28.3%の減少までなら耐えられることが分かりました。


これを見た社長は、思い切って、新商品以外の従来の商品について、20%の値上げに踏み切りました。


当時は、ガソリンの値段が高騰していた時期でした。


つまり、原料となる油の価格が上がっていることは明らかでしたので、値上げをしやすい時期でもあったのです。


如何でしょうか?


頭で考えるよりも、数字にしてみた方が、より鮮明なイメージになりますよね。


まさに、社長の意識が前を向いた瞬間でした。



TOC(制約条件の理論)研修で生まれた商品

社長の思考が前を向くと、他のことにも目を向けられるようになります。


下の図は、実際に取り組んだ内容です。


2つ目の、FCからDCへという項目以下は、全て、TOC研修を全社員で行ったことが大きな要因です。





リードタイムを短くする取り組み、外注費ゼロ化、小ロット対応など、TOC研修よりも以前は、【全て逆のことが起きていた】わけですから、今、振り返ってみても、大改革だったなと思います。


【石鹸を作るための原料を作る窯は、7割か8割で回しましょう!】とお話しさせていただいた時の、工場長の表情は、今でもはっきりと覚えています。


こいつは、何を言っているんだ・・・その表情から読み取ることは簡単でした。


それでも、TOCに取り組んで頂き、本当に有り難かったです。


ただ、改革を推進していくためには、やっぱり、小さな成功を体験することが大事ですよね。


そういう意味では、このときの改革の、副産物と言って良いのかどうかは分かりませんが、新商品が、開発することなく生まれたのも大きかったです。


その当時、リードタイムが早くなり、加えて、in-out-残による在庫コントロールも始めましたので、販売数量の大幅な伸びの割には、生産現場はゆとりを持っていたそうです。


すると、作る製品を変えるごとに、窯の底を掃除していた社員さんが、そこに溜まっているものだけを集めて、新しい石鹸ができるのでは?と思いつきました。


この商品は、今まで、廃棄するためにお金を支払っていたものが、原材料になっています。


なので、お金の流出を止めてくれるという、素晴らしいアイディア商品でした。


そして、この石鹸は、ネーミングと低価格という要素が重なったからか、この石鹸屋さんのヒット商品になりました。


経営って、本当に何が起きるか分かりませんね。


この石鹸屋さんだけでなく、私にとりましても、素晴らしい経験になりました。



指示をされないと動かなかった現場から、逆に声があがるように・・

こうなってくると、社長の思考だけでなく、社員さんにも変化が見られるようになりました。


新製品への意欲です。


これまで、製品開発は、計画から製品化までの全てが、社長だけの仕事でした。


なので、製造現場の皆さまは、いつの間にか、社長からの指示を待つ集団になっていました。


ただ、石鹸窯に残ったカスを使って、一気に商品化が進んだこともあり、一部の社員さんの意識が変わり始めました。


平均プライス200円から300円だった会社から、1万円を超える新製品も誕生しました。


もちろん、全社員さんが前向きに捉えて下さったわけではなく、変化を好まない皆さまもいらっしゃいました。


それでも、改革派の皆さまが、素晴らしいリーダーシップを発揮し、時間はかかりましたが、会社が大きく変わっていきました。


今では、社長も4代目に後継され、さらに若返り、前に前に進んでおられます。


この石鹸屋さんの物語は、直接原価計算と全部原価計算の説明を、1年近くかけて行ってからの出来事でした。


なので、私にとって、ものすごく思い出深い関わりでした。


今は、直接的な関わりはありませんが、陰ながら、更なる発展をお祈りしております。


今回もまた、ブログ筋トレ中の文章を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。


今後とも、どうぞ宜しくお願いします。


ブログ筋トレVol.265

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この記事を書いた人

四ケ所 秀樹

四ケ所 秀樹

四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)
NICE ON株式会社(ナイスオン)代表取締役。
「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、5年間で1億円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

1974年佐賀生まれ。関西学院大学法学部卒。

保有資格
■西研公認MGインストラクター
■SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)
■STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)
■TOC‐ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録
■交流個性解析士

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